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PH4.4-7

学校について、いろいろ

現在小学校一年生のうちのムスコのクラスには、一年生が12人とキンダーガーテン(下注1)の児童が8人いる。

こういう、違う学年の児童が同じ教室で授業を受けるクラスが存在するのを知ったときは驚いた。複学年対応の教室なんて『大草原の小さな家』時代の話だと思っていたからだ。これがしかし、アメリカではよくあることらしい。うちのムスコの学校だけじゃなくて市内の他の学校にもコンビネーションクラス(下注2)は結構あって、ムスコの野球のチームメートにもひとり、キンダー・一年のコンビクラスに在籍する子がいる。

で、なんでこういうクラスが存在するかというと、話はちょっと長くなる。

カリフォルニア州の規定で、小学校低学年のクラスでは先生ひとりに対して児童数が20を超えてはいけないことになっている(州によって規定はさまざま)。ということは、児童数が20で割り切れない半端な数の場合、たとえば一年生全員で90人なんて場合、ひとクラス18人の教室を5クラス用意するのかと思うと、そうじゃない。そんな余裕は現在の州政府の教育予算にはないのである。先生の数は、ぎりぎり最低限必要なだけしかいない。これはカリフォルニアに限ったことではないのだが。

ま、そんなわけで一年生全員で90人となると、20人のクラスをよっつ作り、余った10人はどこかで誰かと合併して20人ひと組のクラスをつくることになるのである。

うちのムスコはその「余って」しまった一年生のうちのひとりというわけだ。

もちろん「そんなクラス」に入れられてしまった自分の子供のことは、非常に心配である。他の「普通」の一年生のクラスに居る子供たちとは学んでいることが違ってくるんじゃないかというのは、親として当然抱く不安ではないかと思う。勉強が遅れてしまったらどうすんのよと思う。

学校側はこういう親の心配を予測して、ちゃーんと答えを用意して待っていた。

いわく、
「お宅のお子さんがこのコンビクラスに選ばれたのは、彼(または彼女)が学年平均か平均より上で、態度のよいやる気のある児童だからです。」…ほんとかなぁ。なんかちょっと見え透いてない?

いわく、
「キンダーの児童は10時半にならないと登校しません。つまりお宅のお子さんは、8時半の始業から10時半までの2時間、先生対児童の比率が他のクラスと同じ1:20ではなく、1:12で授業を受けています。」…比率が低いからいいだろうって言いたいんだな。

いわく、
「しかも、コンビクラスのキンダー児童は、お昼すぎの1時間は教室を移動して他のキンダーの子供たちと一緒に授業を受けています。つまりお宅のお子さんがキンダー児童と一緒の教室で授業を受けるのは、8時半から2時半までの6時間のうち、たったの2時間ほどのことなのです。」…2時間だけだったら心配ないだろうって言ってるのね。

この最後の答えには説得力があるが、ちょっと待って。うちの子の学校には三年・四年のコンビクラスもあるのだ。その子たちはどうなのよ。6時間ずうっと一緒でしょ。この最後の言い訳は通用しないよね。



…とまあ、ぶつぶつ文句を言ってもクラス編成を変えてもらえるわけではない。だから親としては、このコンビクラスという環境で自分の子供が最大限学ぶべきことを学べているかどうか、自分で確認するしかない。

てなわけでボランティア、である。

去年のムスコのクラスにはボランティア志望のお母さんが多くて、ワタシは週に1回1時間、図書室で本の整理と貸し出しのお手伝いをしただけだった。ところが今年は人手が足りなくて、ワタシは週に2回、各1時間半、ムスコの教室で働いている(今月は3回出向かなくちゃいけない週が2週もあった)。

ワタシが顔を出す日は他にもうひとりお母さんボランティアが居るので、ワタシの担当は一年生6人のみ。朝一番に先生が読んだ本をもう一度読んでやって、お話に関連した図画工作品を作ったり、単語練習帳の作成を監督したりする。

残り6人の一年生はもうひとりのお母さんと別の作業・勉強をしている。この間先生はキンダー児童8人相手に本を読んでいたり、算数を教えていたり。つまりこの1時間ほどの間、保護者ボランティアが最低ひとりはいなければ、このクラスは成り立たないのである。

そうするうちにお昼休みのチャイムがなる。子供たちがお弁当を持って教室を出た後、保護者ボランティアはさらに提出済みの宿題の整理をしたり、家に持って帰るプリントを各児童のフォルダーに入れたり、事務的なことを片付けてからやっとおしまい。総計1時間半ほどは嵐のように過ぎてしまうのである。

しかも。ムスコの教室で働いている、と書いたが厳密に言うと教室ではなくて、なんと廊下でやってるのである。カーペットが敷かれた廊下に座って、本を読んだり、紙を切ったり貼ったりしてるんであるよ(ボランティアの日はスカートはけない)。

手元の作業に集中すべくも、大人(これまた保護者ボランティア)が教材や道具持って廊下をあっち行ったりこっち行ったり、午前クラスのキンダー児童が40人ぞろぞろ昼食のために移動して我々のすぐ前を通ったり。

 通りがかりの児童A「あ、Bちゃ~ん♫」
 座って作業中の児童B「あ、A君!元気~?」
 ワタシ「Bちゃん、ほら集中して!あと7分しかないよ!」

 …気が散って仕方ないのである。それでなくても集中力のない六歳児を相手に、「集中して!」ばかり繰り返して実にとほほな気分になる。

廊下で作業・授業するのはコンビクラスに限ったことではないのだが、それにしてもなんという学習環境であろうか。そしていつも思うのは、この学校のある区域は結構経済的に余裕があって親がどちらか家に居る家庭の多いところだから保護者ボランティアに頼れるが、そうじゃない学校、たとえばインナーシティーの小中学校なんかでは、どうやって授業をこなしているんだろうかということである。

こういう学習環境が気に入らなければ、私立の学校に子供を通わせるしかない。そうなると学費は莫大だし、学費以外にも送り迎えにかかる時間、学校運営資金の補助または奨学金調達のイベントの企画・運営などなど、保護者が「贈与」しなければならない時間と労力が爆発的に増える。私立学校が選択肢としてありえない家庭だって山ほどある(うちも今の家に住んでいる限り私立は絶対無理)。



子供というのは我々の将来・未来なのである。この国の将来、この世界の未来なのである。だから子供の教育というのは、つまり未来への投資なのである。

それが。


「どの子供にも平等で上質な教育を。」


それがこんなに難しくてややこしいっていうのは、なんだかおかしいんじゃないかなあ。


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注1:キンダーガーテンは一年生より一学年下で日本でいうと幼稚園の年長。アメリカではキンダーガーテン学年の教育内容は小学校の管轄。ワタシは小学校ゼロ年生と解釈している。

注2:英語でまたの名をsplit classと言う。
by cocopuff1212 | 2008-10-24 01:01