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PH4.4-7

椰子の実

Eの通っている小学校へは角を二つ曲がって徒歩七分。朝はいつも始業のベルの二十分前に家を出て、ゆらりゆらりと歩いていくのを楽しみにしている。

今朝の出来事。途中にあるお宅の前のやしの木の上の方で、コンコン、コンコンと何かたたくような音がする。結構大きな音で、Eとふたりで見上げたら、やしの木の葉っぱがわっさわっさと揺れていた。多分カラスかなんかがやしの実をつついていたのだろうと思う。しかしその姿は見えず、音が聞こえて葉っぱが揺れるのが見えるだけ。

不思議そうなEの顔がおもしろ可愛かったので、一緒にしばらく立ち止まってずううっと上を見上げていた。

そばを通っていく車の中からは、「なにやってんの、あの親子」としか思えなかったに違いない。ひとりだけ「さっきあそこの道で何をみていたの?」と聞いてきたお母さんがいらした。あのね、車だと見逃すことって多いんですよ。ぼつぼつ歩いていると、目に付くもの聞こえるものがたーくさんあるんですよ~。



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きのう夕食の後片付けをしながら聴いていたのは、Ann Sallyが歌う『椰子の実』。大中寅二のメロディーが優しくやわらかいものなので「あぁきれいな歌ね」と聞き流してしまうが、よく耳を傾けると実は切ない歌である。

ワタシは「ひとりみ」でも「うきねのたび」でもないけれど、「りゅうりのうれい」とか「いきょうのなみだ」あたりはなんとなぁく分かるような気がする。



アナタノフルサトハドコデスカ。What makes your home home?




   名も知らぬ 遠き島より
   流れ寄る 椰子の実一つ
   故郷の岸を 離れて
   汝はそも 波に幾月

   旧の木は 生いや茂れる
   枝はなお 影をやなせる
   われもまた 渚を枕
   孤身の 浮寝の旅ぞ

   実をとりて 胸にあつれば
   新なり 流離の憂
   海の日の 沈むを見れば
   激り落つ 異郷の涙

   思いやる 八重の汐々
   いずれの日にか 国に帰らん


         島崎藤村    
by cocopuff1212 | 2008-09-04 06:27