PH4.4-7

シンデレラなワタシ

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王子様がひとめぼれするような美人でないことは確かである。でも足のサイズだけはシンデレラなのだ。日本サイズ22.5センチ、USサイズ5、EUサイズ35。小さい上に幅が狭くて甲が低い。「貧弱な足」という表現がぴったりなのである。






日本ではそれほど苦労した記憶はないが、日本で最後に靴を買ったのはもう20年以上前のこと。今は事情も違うかもしれない。

アメリカでは靴屋に行ったら、好みのものを探す前にまず「サンダル探してるんですけど、サイズ5のはありますか?」と聞く。サイズ5なんて置いてない所のほうが多いので、こうでもしないと時間の無駄なのだ。あるいは、箱ごとずらっと並んでるような店の場合は、箱のサイズ表示をさささ~っと見て、5のがあったら箱の絵を見てそれが好みのスタイルかどうかチェックする。というような買い物の仕方をしていた。

子供靴のお世話にもなる。現在持っているUGGのブーツもビルケンシュトックのサンダルも、すべて子供用サイズである。子供靴はサイズが合っても、てんとう虫の飾りがついてたりするところがネックなのであるが。


まあそんなわけで、好みのスタイルで値段が射程範囲というのはなかなか見つからない。見つかったら最後、かかとだけではなく底全体も何度も張り替えて、手入れをしながら大事に履く。はきつぶすなんて余裕は、シンデレラ足のワタシにはないのである。



...が、しかし。

そうやって長いこと履いてきた黒のフラットシューズに、ついに寿命が来た。履くと足取りが軽くなる、乙女なバレエシューズ。



ああああああああ。ブーツでもサンダルでもない靴は、これしかないのに~。


…と思ったのが三月半ばだっただろうか。ムートンのブーツだと足元が暑い日が何日か続いて、うきうき春の気分でこの靴を取り出してしばらく履いていたのだが、ある日、かかとが破れているのに気づいたのだった。アメリカにいた時と違ってリヨンにいると歩く歩く。だから靴の消耗スピードが違うのだね。一足しかないしね。

それから訪れた靴屋は十軒以上、試し履きした靴は四十足以上。フランスの女性はアメリカの人に比べて小柄なので足も小さいのかと思ったらそうでもなくて、サイズ35というのは作っていないメーカーが多い。大人の靴屋は空振りがほとんどで、子供靴の店を中心に探す。それでも、試すものどれも微妙に大きすぎるか小さすぎるか。アンラッキーが続く。

代わりの靴が見つからないのとゆっくり靴を探している時間がないのとで、ぼろの靴をだましだまし履いてきたが、靴屋めぐりをしている間にもこの靴はどんどん悲惨な状態になっていき、しまいには底に穴が開いてしまった。


ビンボー… ビンボー… と遠くで誰かの声がこだまする。


仕方ない。絶対行くことはないと思っていたあの店に行こう。

…と勇気を出して、行きました。以前バレエを習っていた姪っ子Kちゃんが大喜びしたであろうレペットへ。

一区にショップがあるのは前から知っていたのだ。ただ、値段が値段なのでちょっと足を踏み入れる(洒落じゃないですよ)勇気がなかった。ブランド志向でもブルジョワでもないワタシ、靴に二万円も出すなんて、とんでもはっぷんあるいてじゅっぷん、と思っていたのだ。

しかし、今履いてる靴が「かかとべろん」になる前に新しいのを買わないと、まだサンダルじゃ寒いし、かと言ってムートンのブーツじゃ暑いし。追い詰められたような気分で思い切ってお店のドアを押した。フラットシューズを探していることを述べ、サイズ35を出してもらう。どきどき。

そしておっかなびっくり足を入れてみたら、これが、アナタ。すっと吸い付くように足にぴったりはまったのである。英語に「手袋のようにぴったり」という表現があるが、まさしくそんな感じだった。うーん、やっぱりいいものはいい…ってことだろうか?

スタイルの違うものを二足出してもらったのだが、どちらもものすごく気持ちよく足にフィットする。代わりばんこに履けるよう両方とも欲しかったが、それはあまりにも贅沢というもの。ちょっと悩んだ後、かかとを直して履くことが可能な定番中の定番スタイルの方を選んだ。たまたまこっちの方がお値段も低かったし…。色は、これも一足しか買わないことを考慮して、またですか~と思いながらも黒を選択。

同じ革製品でも、バッグと違って靴はどうしても汚れるしぼろくなるものだから、できればもっと手頃な値段でみつけたかったのが正直なところ。頑丈で長持ちしそうな靴というわけでもないし。足が小さくて得してるのか損してるのか…。

購入した定番スタイルがCendrillon(フランス語でシンデレラ)と呼ばれているのは、ちょっとした可愛いおまけだった。でも一足だけじゃすぐだめになるだろうなぁ。あと三ヶ月お給料を貯めて、もう一足スタイル違いか色違いを買いに来よう。...と、実際に貯めるお給料もない専業主婦が言ってみる。


余談。レペットのシンデレラはブリジット・バルドーがリクエストしたおかげで存在するわけですが、ワタクシにとってバレエシューズというと、やっぱりオードリーへップバーンなのです。



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by cocopuff1212 | 2010-06-03 22:35